Rue de Condé

都会から田舎へ -NY Finger Lakesでの生活-

『みかんとひよどり』/NYC再訪

こんにちは
珍しく(?)一冊の本についての感想とか思ったこと。
 
kindleUnlimitedで個人的に超あたりだった。ので紹介させてください。
 

【みかんとひよどり】

近藤史恵さんによる作品で2021年5月に発売されたもの。

 

 にも含まれています!

 

↓KindleUnlimitedってどうなの?個人的な感想書いてます

tikitikis.hatenablog.com

 

あらすじ

フランスで料理を学んだシェフ (腕はいいが、こだわりが強すぎるのか、"儲け"の点ではあまり優秀ではなく、方向性を定めかねている)  の潮田は一人で猟に挑んでいたが、夜の山で遭難しかける。
 
死を意識したところで、同じく狩猟のため山に入っていた大高とその犬マタベーに助けられる。
 

シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。(Amazonより)

 

どちらも30代半ば。
 
都会に暮らす潮田
山に暮らす大高
 
肉を調理する潮田
獣を採り、肉にする大高
 
向き不向きとやりたいことの天秤でくすぶる潮田
才能がないとすぐに見切りをつけた大高
 
解説でも触れられているが、この本は多くの対比が印象的だ。
潮田と大高の対比はあきらかだが、ほかにも多くの仕掛けがある。
 

きっと多くの人に共鳴する

潮田にとても好感が持てるのは
彼のなかにある美しくはない感情がとても素直につづられ、それがとてもリアルだからだとおもう。
 
誰かと自分を比べて、焦って、ねたんで、そんな自分に嫌気がして。
こんなループを経験したことが無い人は多くはないと思う。
 
 
大高と出会うことで、潮田は色々なことに気づかされる。
潮田とかかわることや、いろいろな事件により、大高も少しずつ心が開かれていく。
 
 

いつからこんな風になっちゃったんだろう

つらいことばっかりだったはずなのに、(中略) あの時が僕の人生の中で、いちばん楽しかったような気がするのだ。(中略) 料理人としてのスタートを切れば、すぐさま客が押しかけてくると無邪気に信じていたのだ。自分に自信が持てて、自分の未来が明るいと信じられる以上に、幸福なことはないのだ
 
この部分がとてもしみた。
同じくフランスで過ごした時間が、調理ではないが、人生のクライマックスになっている気がする。
 
同年代の友人は大卒の場合はすでに8年近く、修士でもすでに4-5年社会に出て誰かの役に立っていた。
私はといえば、やっと学位を取り、周りと比べつつもやりたいこと (だと少なくても思い込んでいること) に没頭して、まだ右肩上がりの将来に希望をもっていた。苦労はしたが挫折もなく、すべてうまくいくだろうという気持ちがあった。
 
あの時が一番幸せだった
 
そんな気持ちがあると、どうしてもその時と今を比べてしまう。
意味のないことなのに。
どうしても頭がそこから動けない。
何が変わってしまったのだろう。
あの時の自分と今の自分は何が違うのだろう。
 
多くの人は人生でそういう通過点があるのだろうか。
 

命を頂くこと

山に入る
野生の命を目の当たりにする
命を奪い、いただく
 
山に入り
不便な生活をする
不便なのに、凝り固まった気持ちはほぐれて消えていく
 
 
現代に生きる私たちは、スーパーで売られる"肉"について、その肉の前に一個体だった命について一々思いを巡らせることはあまりない
(飼育環境とか考えることはあるかもしれないが)
 
ましてやジビエについては食べる機会も少ない
 
命の灯を消す人は
できるだけその命を無駄にしないようにいただく
 
フランスの郷土料理の多くは「えっ、そんな部位も食べるの?」というものが少なくない。
だけど、思いをはせてみると、そうやって自然から必要なものを頂いてきた人の、あたりまえの行動の結果だったんだろう。
 
本作に出てくる『フロマージュドテット (頭のチーズという直訳になるが、チーズは入っていない)』。ちょっと読んでいるときは想像ができなかったのだが、その聞こえとは裏腹に爽やかな味らしい。気になります。
 
と思って検索したら、あぁこれのことか!ってなった
確かにワインが進みそう・・・
 
 
 
猪や鹿と言っても、季節によって味が全然違う(脂ののりなど)
みかんをたらふく食べたヒヨドリは、肉からもミカンの香りがするそうだ。
ヒヨドリなんて食べたことないし、ミカンの香りのヒヨドリなんて、気になって仕方ない。
 
 

飽食の時代

特に日本は安全・衛生面から食品廃棄がひどい。
海外ではスーパーの売れ残りは安く売るルートがあったり、ドネーションされることも少なくない。
レストランで食べ残しを持ち帰るのは当たり前に近い。(それをきちんと最後まで消費するかは、別問題だが)
 
多くの国で、畜産動物でも余る状態なのに
人間の都合でたくさんのシカやイノシシ、鳥が害獣として駆除され、ほとんどは焼却処理される。
 
簡単な問題ではないが
オーナーのように行動を起こして、問題に少しでも向き合えたらいいのに(本の後半)と思う。
 

文体とか筆者の雰囲気の感想

近藤さんの著書は初めて読んだが
とても慎重に筆が運ばれていて心地よい
 
解決策とおもわれても、一度立ち止まり、ほんとうにそれはいい方法なのか、それは独りよがりではないか、他の立場や考え方の人からしたらどうか、自然からしたらどうか
そんなことが丁寧に考えられている。
それでも、物語としてちゃんと着地点が作られている。
 
 
生きることには時間がかかる。罠をかけて見回り、野草を集めて、薪をわり、火をおこし、獲物が取れたら作業し、料理して・・・そうして一日は過ぎる。面倒なことにかかわる時間はない。私たちの暮らしは家電やスーパーやどんどん便利になっているのに、人生は複雑性を増すばかりだ。楽になった代わりの時間に、別のものが流れ込む。

 

ありふれたレクチャーではなく軽やかに、だけど深く心に残る作品でした。

 
 
義理の弟は狩猟をする
義父も昔はハンティングをした
この前も採った鹿を夜遅くまで解体していた。
鹿の肉とキジの肉を分けてくれた。
 
 
 
銃というだけで拒否反応が出てしまっていたが
今度色々聞いてみようと思った。

 

 

【豊かさとは】

仕事の関係で一週間ほどNYCにいました。

 

去年の旅行記終わってないあなぁ(笑)

tikitikis.hatenablog.com

 

↑のときは、次に来るのは5年後くらいだろうなと思っていたので

一年以内にまた行くことになってビックリ(笑)

 

 

いやぁ・・・

相変わらず

くさいし!

うるさいし!

ひとがおおいし!

トラフィックがクレイジーすぎる!

 

クラクションやばすぎでしょ・・・うるせー・・・

イサカだとクラクション鳴らすのは知り合いを見かけて、「やっほー!」という意味合いのことが多いんだけど(それもどうなの?(笑))、こっちは信号が青になって0.1秒発進が遅れただけで後続車に鳴らされる有様。

NY歴33年の夫でもNYCは絶対運転したくないというが、私も絶対ヤダ・・・

 

 

前は二泊だったんですが

今回は一週間。

結構、田舎の大自然になれた身としては修行でした(笑)

・・・なんて…贅沢ですね、NYCに旅行に来たくてもなかなか来れない皆様、すみません・・・。

 

 

夫も週末来て、夫が帰った後は一人旅行ーいぇーい!って思ってたんだけど

結構一人はつまらなかったことに自分でもびっくりしたんです

 

ミニマリストやシンプリストの本を読んで

物を減らす方向に動いていたので、買い物する気が起きなかったんですよね

(家族にお土産とか食べ物は買ったけど)

 

・・・となると

私にとってNYCの魅力は飲食だけになるんですよね

(美術館とかあんまり興味ない。特に大きい有名なのは人も多いし・・・)

 

・・・となると

1人じゃあんまり楽しくない!

(平日なのに、ちょっと遠いのに、会ってくれた友人、感謝です)

 

やっぱりご飯や飲み物は誰かと楽しむのが幸せなんですね。

夫、ありがとう(笑)

 

あ、でも、カフェは結構色々行きました。

 

↓相変わらずカルダモンバンは神だった。けど、前は普通にそんなに混んでなかったのに、今回は何度か通ったけど毎回人が凄かった!何かで取り上げられたんだろうか?

tikitikis.hatenablog.com

 

住んでると違う魅力があるのだろうけど

イサカシックが半端なかったです。自分でもびっくりした。

 

豊かさとか幸せって人によって違うけど

田舎に住んでみて

 

毎日たくさんの鳥の声で起きて

雲海(よく丘の間に発生する)のきれいさに感動して

湖と丘に沈んでいく夕陽を見て

コヨーテの遠吠えを聞いて

数えきれない星を見て

明かりを消せば漆黒の闇

夜聞こえるのはキツネやフクロウの声だけ(これは毎日ではないが)

 

それが凄く恋しかった!

騒音すごくつらかった・・・(ブルックリンのダウンタウンから離れたところに滞在していた時は少しはましだったけど、それでも夜中まで結構音が気になった)

 

電気を消しても道路からの音(クラクション、パトカー、救急車、人の声・・・)で落ち着かず・・・

 

きっとある程度都会に住んでいる人がイサカやFLXにきたら

特に短期間だったらすごく物足りなく感じるだろうけど

(実際に、遠距離で短期だけイサカに来てた時は田舎すぎて住めるか不安だった)

なれてしまうと、都会の刺激の強さにノックアウトされてしまう感じ。

 

NYCとはあんまり相性が良くないんですね・・・

東京は好きだから都会がダメというわけではないんだろうけど、東京は慣れてるし、東京は他の国の大都会と比べたらだいぶイレギュラーなのかな

 

 

とはいえ、やっぱり色んな国の料理があるのはうらやましいし(やっぱり食)

今回新しく知ったお気に入りもできたので

それらはまた後程・・・!

 

↓ここもまた行った

tikitikis.hatenablog.com

 

 

イサカもNYCも同じ州

というかNYCって広大なNY州のほんの端っこの島々(笑)なんですよね

NY州って、NYCを離れるといくつか大きな街はあるけど、ほとんどが農地で

ほんとうに変な感じ~

 

 

 

 

『みかんとひよどり』、丁度旅行の行きで読み終わったんだけど

 

"生き物の命と直接向き合い、山や木々の声を聞く。() 大高の世界は、ぼくたちの世界とは別の豊かさで満たされている"
 
ここがすごくストンと落ちました。
 
豊かさって人によって様々
でも、すっかりカントリーガールになった私にとっては
FLXに住んでいるのは不便だけど、ラグジュアリーだなと思う今日この頃です。
 
知り合いの中国人の博士学生は
イサカが何にもなさ過ぎてつまらなすぎて毎月のようにNYCに行っています
早く卒業して都会で就職する、都会以外住めない、だそう。
本物かどうかはわからないけど、ブランドものばかり持ってます(車はベンツ)
 
人によって価値観が違うのは面白いです
住む環境が価値観を変えるのも面白いし
家族や年齢でも変わっていく
 
 
電子書籍で読んだけど、手元にコピーを持ちたい本です。
 

 

 

 

ではでは

今日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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