薬局薬剤師するならアメリカと日本どっちがいい?
こんにちは
今回は日本で薬剤師免許を持つ私が
アメリカの薬局でテクニシャンで働いてみて
アメリカの薬剤師さんの仕事などを見て
個人的に思ったことを書きます。
長いですw
Catskills旅行記は次回以降に続きます★
【日本の退役薬剤師が見たアメリカの薬局の話】
まだまだネタは尽きず、今も下書きを貯めています 笑
ご興味のある方はどうぞ
【アメリカで薬剤師免許を取るか】
薬局で仕事を始めた理由の一つに
「アメリカでも薬剤師免許を取りたいか、実際に薬局で働いてから決めたい」
と思ったことがあります。
↓アメリカ (NY) で薬剤師になるために・・・
先日フルタイムのオファーをもらいました!
わーい
でも、他にもラボとかやりたいことが沢山あるので
今回は断りました・・・(えぇぇ
夫の稼ぎは高給ではないけど
そういう選択をできたのは夫が働いて稼いでくれてるから・・・
有難いなと思います
脱線しましたが。。。
三か月ちょい働いてみて、色々アップダウンはあったんですが
今現在の気持ちとしては
薬剤師免許挑戦しようかな
と思う気持ちが強くなってきています。
ただ、大きな薬局 (retail) の薬剤師はあんまり魅力を感じないかな (すみません
理由とかについて日本と比較しながら書いてみました。
【アメリカと日本の薬局薬剤師どっちが良いか】
結論から言うと・・・
個人的な比較ですが
私は断然日本が良いです 笑
↓薬剤師の業務などについてはこちらもどうぞ
私は日本で二か所しか経験ないですが
どちらも「超忙しい薬局」ではなかったんですね。
それも影響すると思うので何とも言えないので、偏った比較かもしれませんが、パッと思いつくことを書いてみます。
①処方箋が多すぎる
アメリカでは大型のチェーンばかりで、一店舗の処方箋枚数が大変なことになっています (アメリカでは一処方箋 = 一薬剤なので、日本と単純に比較できませんが・・・それを加味しても桁が違います)
実際に数字で比べてみます。
※繰り返しますが、日本は処方箋数≠処方数なので単純比較はできない※
日本の場合は小さな店舗が星の数ほどある (2019年末で60,171件。こちらのページから)
因みに令和二年 (って西暦何年??苦笑) の処方箋枚数は全国で731,155,641枚。
雑だけど、枚数と薬局数は人口密度とかとほぼ比例すると考えて、単純計算で一件当たり年間約12,150枚、つまり月当たり1,000枚前後、つまり一日当たり約30-40枚の処方箋を処理していることになる。
アメリカは処方箋数が年間4.98 billion (4,980,000,000) 枚 (おそらく延べ数 = refillもカウントと思われる。はっきり書いてなかったけど。)
一方でアメリカのretail pharmacyの数は26,738となんと日本よりはるかに少ない。
また単純計算すると、一薬局当たり年間186,250枚、つまり月15,500枚、一日520枚前後 ということになる。
(この数字はショッキングだが、毎日処理する量から計算するとほぼ当てはまると思う)
日本の処方箋で一枚に平均3-4種類の薬が書かれていると仮定しても
一日の処方件数は30-40 * 3-4でマックス160。
それを考えると、アメリカの薬局のカオスさが分かると思う・・・。
アメリカの薬局には薬剤師だけでなく薬剤師の倍以上のテクニシャンがいるけれど、それでもこの量はすさまじいです。忙しすぎます。
②薬剤師と患者のコンタクト
ゆえにアメリカの薬剤師はすべての患者に一々対応することはできない。
患者から質問を受けた場合や、用量用法に変更のある場合などカウンセリングが必要な時だけ患者と話します。
日本では「今日はどうされましたか?」とか「お辛いですね」とか
患者の状況を薬剤師がなるべく把握して、薬の提供プラスアルファを行う
(勿論患者さんが急いでいるときや、だるくてもう早く帰りたいというような感じの時は手短に。)
日本は処方箋の期限が短いので、患者さんが薬局に来る時 = 直近で病院に行ったとき = 何か体調不良があったときということになるので、この会話はとても大事だと思う。
↓日本とアメリカの処方箋の違い
あわせて、かかりつけの場合は服薬のチェックとかも大事だし
何よりも患者への説明などは薬剤師の義務ですし。
日本では薬剤師は忙しいとはいえ、患者さん一人一人に時間をある程度割ける。
Photo by Ümit Bulut on Unsplash
アメリカはそれが難しい。
患者の多くはさっさと薬をもらって帰りたい、薬局はいわば買い物リストの中の一つという感じ。さらに、アメリカの処方箋の期限はcontrol substanceを除き基本一年間なので、薬局に来た時 = 病院に行った、体調が悪い とは限らない。
正直テクニシャンとしては多くの場合は何も考えずに薬を渡す
(骨折して鎮痛とか、手術前後の処方とかはある程度分かるけど)
テクニシャンも忙しすぎるので一人の患者と会話する余裕はほとんどない。
なんだかなぁと思う。
確かに免疫抑制剤とか「ずっと飲み続けなくてはいけない薬」は分かるけど
日本でもそうだけど高血圧とか、糖尿とか、高コレステロールとか、鬱不安気分障害とかものすごい数のrefillのときとか見るとネグレクトにしか見えないんだよね。
そもそも、アメリカも深刻な医師不足で、多分日本よりもやばい。
日本もだけど医学部に入るのがもう大変だし、お金もあり得ないほどかかるし、時間もものすごくかかる。皮膚科とか専門医とかは本当に予約が数カ月後なんて普通で (意味わからんよね)、だから医者もrefillを多めに出す。
アメリカの医療は
やばいです。
これだけで壮大なトピックになるので今日は書かないけど、
オピオイド系鎮痛剤も、アメリカはやばいです。
③薬局は待つところか?
日本人からすると
「薬局に処方箋を持って行ってから、待ち時間がある」は当たり前ですよね
病院でも待ち時間は大体あるので本を読んだり、待合室のテレビをぼーっと眺めたり、おいてある雑誌とか新聞を読んだり、携帯を見たり。
また日本人は待つことに慣れている?ので
あまり苦ではないと思います
(それでも、大幅な待ち時間が見込まれる場合、例えば子供の粉薬が何個か処方されているときとか、一包化の指示があるときとか、は改めて薬剤師が伝えることが多いと思います)
Photo by Ümit Bulut on Unsplash
アメリカの場合、処方箋は基本的にドクターのオフィスから送られてくるまたは電話での処方になるので、いわゆる「待合室」的なものはないし
患者も待つことを想定していない。
ので、準備ができていないとイライラをあからさまに出されることがあります。
(全員ではないが、半分くらいは)
ドクターのオフィスも多分忙しくて、患者何人かまとめて時間ができた時に処方箋を送るとかしているところも多いと思うので、結構遅れがある。
イライラされても、、、こまるんですよね~。
日本ではイライラされて文句言われた記憶ないな。
こっちでは毎日います。
私たちも別にだらだらしているわけじゃなくて
本当にトイレに行く暇もなく (私は昼休憩の時以外本当に行けてません) 働いていて
申し訳ないけど、延べ500人/日の準備をするわけで
勿論最善は尽くしてるけど、あんただけじゃないんだよ
って言いたくなるよね~
なんだかそのあたり
高慢な人が少なくなくて
そんな態度を取られると、どっと疲れを感じてしまいます。
④デジタルすぎる
日本も今はデジタル化が進んでいるかもしれないけど
アメリカ (NY) の薬局の業務はすべてシステム上で行われる
処方箋から、薬のチェックから、相互作用確認から過去処方まで・・・
過去のデータをさかのぼる時とか凄く便利だけど
全部コンピューターってあんまり好きじゃない
私が日本の薬局で働いたときには
患者さん毎のフォルダーがあってそこに処方箋とか全部コピーで入っていて
問い合わせ内容とか申し送りも書き込む感じ。
相互作用も基本は薬剤師の頭にあって
不明確な時は添付文書とかで調べたりした
アメリカはそれもオンライン。
(そんなんだったら薬剤師じゃなくても使えるよね~)
それに加えてアメリカの薬局では作業分担の流れ作業形式だから
一つの処方に対して何人もかかわったりする。
ある意味チェックアップでいいけど、めんどくさい
⑤東洋医学はない
これはアメリカの薬剤師の弱点でもあると思います
日本の薬剤師は薬剤師国家試験でも漢方が扱われ、勿論授業でもあります。
漢方 (西洋ではmedicial herbとかalternativeとか) は西洋の薬剤師のカバー領域ではありませんが、近年多くの人が注目しています。
アメリカでおびただしい量の薬をdispenseし、ちょっとゾッとしてしまって
東洋の考え「未病」とか「中庸」とか、そういうのが恋しくなりました。
(因みにアメリカの薬剤師さんは結構サプリとかにアンテナを張っていないと大変そうだなとも思います。アメリカ人はサプリ大好きなので・・・)
【薬剤師免許は必要か】
ここまで読んで
「え、じゃぁなんで薬剤師の免許ほしいの?」
ってなるかもしれないけど
アメリカのretailでアメリカの医療界製薬界の闇を見たからこそ、
アメリカのretailで薬局のクレイジーなほどの忙しさを知ったからこそ、
アメリカの西洋医学の闇をみて&最近のRx離れの動向も考え、東洋医学を専門できちんと勉強したアドバンテージを感じるからこそ、
ゆっくり患者さん一人一人と向き合る個人薬局、西洋医学じゃなくて、漢方とかalternativeと呼ばれるようなものをきちんと資格をもって関わりたい
そう思うようになりました。
因みにIthacaには薬剤師さんがオーナーの自然薬局があります。
一度中に入って、少しだけ話を聞きましたが
やはり「retailはあんまり魅力じゃなくて・・・」とおっしゃっていました。
そこでは一人一人の悩みや体質を聞いて
薬剤師さんがハーブなどをブレンド。
↓開店時間が少なすぎるのが残念w
www.naturesapothecaryithaca.com
↓こちらはハーバリストによるお店
前も記事で書いたように、
日本からアメリカの薬剤師に大学に行かずしてなるためには
まずTOEFLのスコアが必要で、Speakingは26/30というスコアが必要
TOEFLはロジックなので練習すればいいんですが
もう少し自信が持ててから挑戦しようかなと思います。
なので、ざっくりこの数年で資格を取るところまで行けたらいいな
なんて思います。
Photo by Conscious Design on Unsplash
その間にハーバリストを取ってみようかなと思います。
上述のようにalternativeやherbal medicineは今人気だし
ハーブは大好き&localのソースが多い!
人生こんなことなら
日本にいた時にもっともっと漢方とか薬膳とか勉強しておけばよかった
なんて思いますが (私の母校は医学部病院も漢方は有名だったりします)
まぁ後悔はしても仕方ないので
隙間時間で色々頑張ってみようかな。
長々となりましたが
今後もまだまだ退役薬剤師シリーズはネタがあります・・・
また時間を追ったり、
ラボの仕事をもらえたら気持ちは変わるかもしれないけど
なんとなく漢方とかハーブとか、自分の好きなもの・自分の学んできたものを詰め込める、自分のスペースを持てたらいいなぁなんて妄想するようになりました。
まずはまだまだ英語とか、収入とか考えることも多いけど
ボランティアや色々な経験を通じて
知り合いも増えてきて
小さい街だけどとてもヘルスコンシャスなコミュニティなので
面白いことできるといいな~
今日はこの辺で。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
よろしければ励みになりますのでクリックをお願いいたします♡