Rue de Condé

都会から田舎へ -NY Finger Lakesでの生活-

NYの薬局: 良く処方される薬は? ①肌感覚編 (1)

こんにちは

 

退役薬剤師です。

 

アメリカ (NY) のオピオイドクライシスや大量の向精神薬の処方箋を毎日目の当たりにして日々衝撃を受けています。

 

アメリカのオピオイド問題だけで100記事くらいかけると思う・・・

(オピオイドは正しく"正しい"医師薬剤師の指導通りに使用する限り、オーバードーズや昏睡・死などに陥ることはありません・・・むしろきちんと痛みをコントロールすることは、QOLの観点から非常に重要であることは断っておきます!) 。「正しい」医師としたのは、実際にNYCなどでも医師による過剰処方が大問題となったことから・・・日本では聞いたことないけど・・・

 

↓NYCのオピオイド事件・裁判についての本を紹介してます

nypost.com

 

ま、それはおいておいて

 

アメリカはセルフメディケーション先進国というか

サプリ・OTC大好き♡

かつ

病院に行くハードルが日本より高いので

薬局で処方箋薬として扱う薬の処方割合 (効能別割合) が結構違うように感じます。

 

で、

アメリカ (NYの片田舎) ではどんな薬が多く処方されるのか?

日本でよくでる薬はアメリカでも良く出るのか?

① 肌感覚

② データに基づいて

みてみたいと思い、記事にしてみます。

 

個人的に健康と経済状況と場所はかなり関係があると思っていて

アメリカと言え広いので

場所が変わればまた違うかも。。。

 

今日は①の肌間隔で★ 

(凄く長くなったのでさらに前編と後編に分けます)

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Photo de Alexandros Chatzidimos provenant de Pexels

 

日米で先発品 (ブランド) の名前が結構違うのが面白くてそれも併記してみました。

(え、別に面白くない? 笑 薬にはそれぞれ「インタビューフォーム」というのがあって、薬の商品名の由来が書かれていることが多いんですが、これ結構読み物として面白いですよ。普通に誰でもアクセスできる (公開されている) 文章なので、「薬の商品名 + インタビューフォーム (IF) 」で検索してみてください)。私のお気に入りはハルナール。

 

因みにアメリカの薬局では後発 (ジェネリック) がある場合は、ほぼ100%ジェネリックです。(保険によって先発しかカバーしないときや、日本同様、医師からの指示で変更不可の場合などもあるが稀)

 

ジェネリックは日米ともに「成分名 (化学)」なので、こちらは発音以外は全く同じ!

ありがたや・・・たまに「発音違いすぎやん」ってなるけどw

 

薬剤師・研究者視点での小話もはさんでます!

【どこでも定番?! 抗高血圧・抗高脂血症・糖尿病薬】

こちら鉄板のザ・生活習慣病の薬

アメリカもかなり出てます。

高血圧治療薬

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Photo de Mikhail Nilov provenant de Pexels

 

ただ、日本はかなり高血圧の薬が占める割合が高かったように思うので

それに比べると割合的に低い気がします (他の薬 -後述- が多いからかも)

 

日本で薬剤師したときは

丁度高血圧治療薬の合剤ブームでしたが

私の薬局では高血圧薬との合剤はあまり出るのを見ません

 

日本と同じく、やはりアムロジピン (先発は日米ともにノルヴァスクⓇ)・リシノプリル (日ロンゲスⓇ, 日米ゼストリルⓇ) はかなりよく見る。

ロサルタン (日ニューロタンⓇ、米コザールⓇ) やメトプロロール (日セロケンⓇ、米ロプレッサーⓇ) が続く印象。

 

高脂血症治療薬

また、肌間隔的には、日本よりも高脂血症薬の割合は低い気がする 

(あくまで日本での割合比)

 

とはいえスタチン系 (~スタチン) はやはり重要な位置づけ。

アトロバスタチン (日米ともにリピトール) が圧倒的に多く、同じグループのシンバスタチン (日リポバスⓇ、米シムコールⓇ)、ロスバスタチン (日米ともにクレストール) も良く出ます。

 

因みに、スタチン薬は今や世界中でなくてはならない薬トップですが

この開発に大きく貢献したのは日本人 (三共 (今の第一三共) の研究者である遠藤博士) で、大学一年の時に「日本の研究者はすごいな」と将来にキラキラした期待を持った記憶があります (当時の自分に申し訳ない~

 

こちら、遠藤博士によるスタチン開発の記事、面白いし科学者以外にも読みやすい文章なので是非読んでみてください。

 

スタチン系以外だとエゼチニブ (日米ともにゼチーアⓇ) とかもちょいちょい出てます。

あと、日本より圧倒的に魚食が少ないため?か、オメガ3系の薬も出てます。

 

糖尿病治療薬

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Photo de Nataliya Vaitkevich provenant de Pexels

 

糖尿病薬はかなりでます。

一番多いのはメトフォルミン (日メトグルコⓇ、米グルコファージⓇなど多数) やグリピジド (日米ともにグルコトロールⓇ) で、うちの薬局では意外と?あまり他のものは出ないです。

 

最近の糖尿病の薬は「グルコ」とか「グリ」とかがつくのがほとんどなので、分かりやすくていいですが、こちらも私が薬剤師になる前くらいからアホみたいに色んな機序に対して薬が出てきて「国試に落ちたら、将来の試験で糖尿病薬地獄になる・・・」と恐怖に思った記憶があります。 

もしもアメリカで資格取得を目指す場合、避けて通れないので戦慄・・・

 

アメリカではインスリンの処方の多さにびっくりします。

インスリン剤ってこんなにあったんだ・・・

流石アメリカ。

肥満体国アメリカ。

 

また、血糖値検査系のものもかなりでます。

こちらはOTCでも買えますが、処方だと保険がきくので値段が違います。

 

また、Medicare Part Bでは糖尿病をカバーしており、糖尿病の薬の場合はDではなくBでカバーされることになります。

 

↓パートBとDの違いは?

 

これは州によってかなり変わりそうなので比べたいけど

健康志向の人が多いイサカでもやはり多いです。

(イサカでは肥満を見ることはあまり多くはありません。自然が多かったり、健康志向が高かったり、色々土地によって違う気がします。昔住んだアリゾナのツーソンはかなりデブばっかでした)

 

糖尿病になると、他の病気もかかり/併発しやすくなります。

同僚の糖尿病もち君はかなり体調不良の欠勤が多い

(糖尿病以外にも問題あるのかも・・・。というかコントロール不良だから薬物療法見なおし必要だろって思ってしまう)

 

因みに病院実習の時に糖尿病の怖さをイロイロ見ました・・・

気を付けたいですね。

 

【抗生物質・抗真菌薬・抗ウイルス薬: 内服薬】

抗生物質

日本も抗生物質は多いですが

アメリカはすごい・・・

 

日本は錠剤・カプセルのほかに主に小児に顆粒がでますが

アメリカの場合は顆粒は (少なくとも見たことは) ありません。

かわりに、サスペンジョンと呼ばれる顆粒を溶かしたものが主に小児にでます。

 

アメリカでは、

日本のように処方箋によって薬剤師が計算して計量し、一包化・・・

・・・なんてことはありません✋

 

既にパッケージになっているものを

薬剤師が水で溶かして思い切りシェイクするだけ

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バーテンダーばりにシェイクするのだ!

「残った分は捨てるように」とか「最後まで飲み切るように」

と都度伝えます。

合理的といえば合理的。

 

また、基本的に液体の薬には味がついているんですが

さらにカバーする味を追加することができます (有料)

薬によって使える味は変わるんだけど、色んな味があります。

 

↓こちらでも触れました

 

またNYではライム病 (Lyme disease) が多いので (日本では北海道のみ?) 

その場合にはドキシサイクリンの (比較的) 長期処方がでるのは

日本の時には経験しなかったことで「ほほう」となりました。

 

↓ライム病について少し触れた記事

 

日本では抗生物質の処方には抗生物質耐性のビオフェルミンRなどがセットで出ますが、アメリカではそんな優しさはありません。

因みに普通のビオフェルミンは抗生物質で死にます ^-^ 

 

抗真菌薬

一番出るのはフルコナゾール (日米ともにジフルカンⓇ) かなぁと思います。カンジタなどの治療に。よく出る150mgは特殊にパッケージングされてます。

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シグマファーマよりお借りしました

飲み薬はむしろフルコナゾールくらいしか普段見ないかも?!

外用ではケトコナゾールをよく見ます。

 

抗ウイルス薬

抗ウイルス薬は殆どが「~ビル (ヴィル)」で終わります。

 

一番多く見るのはバラシクロビル (日米共にバルトレックスⓇ)

あとはアシクロヴィル (日米ともにゾビラックスⓇ) とか。

主にヘルペスウィルス (帯状疱疹なども含む) による感染などにつかわれます。

 

インフルにはオセルタミヴィル (タミフルⓇ)。

あとはコロナの薬がもうすぐ来るか・・・?

 

 

 

 

はぁ。。。やっぱり薬好き (変な意味じゃない)

 

まだまだ大きなヤマである精神系、循環器系、そしてオピオイド、

また日本では多く出るあの薬は? なんてのがあるんですが

もう4000字もかいちゃったw

ので後半にまわします~

 

 

個人的には循環器系の薬は結構新し目で、

薬局で買う薬としては一番高いのではと思う

めっちゃ高い・・・保険によってかなりカバーされる人もいるけど、

ザレルト (XareltoⓇ) とかエリクィス (EliquisⓇ) とか涙出そうになる。

 

↓ザレルト (J&J) とエリクィス (Pfizer)

www.cardiobrief.org

命に係わるお薬。多くの人が負担の少ない値段で不安なくつかればいいのに。

 

 

 

そういえば、来月NYCに弾丸で行くことになりました~

NYC在住のかたの記事をフムフムさせていただいてます!

コロナによる規制などが心配ですが・・・まぁケセラセラ~

(そういえばコーネルのシャットダウンで日本のニュース記事で「イサカ」という言葉が出てちょっと感動しましたw イサカ、コーネルの学生が大分消えてかなりひっそり静まってます~)

 

今週は70度になったかとおもば今日は雪だとか。

あたたかくしてお過ごしください★

 

 

今日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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