Rue de Condé

都会から田舎へ -NY Finger Lakesでの生活-

【アメリカ】OTC花粉症薬【スプレー編②】2022年情報

こんにちは

 

薬局でも花粉症の薬の処方が増えてきて

NYでも春を感じる今日この頃

 

前回に続いて

アメリカで買えるOTC花粉症のスプレー薬を

日本と比較しながらまとめます

 

↓前半。アメリカのOTC花粉症薬の殆どはこちら

 

↓内服を中心に書いた記事はこちら

 

 

【アメリカOTC花粉症スプレー】

アメリカのOTC花粉症薬は大きく分けてこんな感じ。

今のところ殆どがステロイドかアドレナリン作動薬です。

アメリカはシンプルに単剤のものが多いです。

 

日本はかなり複数の成分配合のものが主流なので、前回の記事と被ってる部分もあります。

  • ステロイド --- スプレー編①
  • アドレナリン作動薬 (血管収縮) --- スプレー編①
  • 抗ヒスタミン 
  • 抗ケミカルメディエーター
  • ホメオパシー
  • 生理食塩水

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抗ヒスタミンタイプ

抗ヒスタミン薬は内服すると程度の差はあれ眠気が出るものが多いです。

ただ、これは脳内のヒスタミン受容体 (覚醒に関与) にも作用するからで、外用ではほとんど問題になりません。

 

また、日本の場合、OTCのステロイド系の鼻炎スプレーは子供を対象としていないことが多いのですが (アメリカはOKなのでお国柄でしょうか・・・)、抗ヒスタミンのものは小学生くらいから使えます。

 

抗ヒスタミン系点鼻薬の主な長所
  • 効きが早め
  • 中期連用使用ができる (ただしアドレナリン作動薬を含むものは不可)
  • (日本) 子供にも使いやすい
抗ヒスタミン系点鼻薬の主な短所
  • 眠けが出る可能性が0ではない
  • 緑内障などでは要相談
  •  

抗ヒスタミン薬はアメリカでも内服で主要な位置づけですが、アメリカでは意外にもOTC抗ヒスタミン系鼻炎スプレーはありません!

びっくり!

 

アゼラスチン --- coming soon in the US !

現段階でまだ市場には出てないようですが、

去年FDAがアゼラスチン (現在は処方箋薬のみ) をOTCにすることを承認しました。

ただしOTCにスイッチされるのは6歳以上がつかえる0.15%のもの。

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Perrigoより こちらは処方箋用

6歳未満の小児への処方量0.1%のものは引き続き処方箋が必要となります。

www.fda.gov

 

2022年には市場に出回るとのことですが、今のところまだみませんね・・・

www.pharmatimes.com

 

ちなみにアゼラスチンの点鼻は日本ではOTC扱いはないようです。

 

クロルフェニラミン
ナザール
  • 有効成分: ナファゾリン (アドレナリン作動性薬 50 mg/100mL)、クロルフェニラミン (抗ヒ 500 mg/100mL)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1~2スプレー、3時間間隔を開けて一日6回まで
  • 3日を超えて使用しない

 
パブロン鼻炎スプレー
  • 有効成分: ナファゾリン (アドレナリン作動性薬 50 mg/100mL)、クロルフェニラミン (抗ヒ 500 mg/100mL)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1~2スプレー、3時間間隔を開けて一日6回まで
  • 3日を超えて使用しない
  • グリセリン配合で鼻腔内の乾燥を防ぐ

 

パブロン点鼻JL

こちらはメントール配合でスーッとした使い心地。基本的には上のパブロン鼻炎と同じですね・・・

  • 有効成分: テトラヒドロゾリン (アドレナリン作動性薬 10 mg/100mL)、クロルフェニラミン (抗ヒ 500 mg/100mL)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1~2スプレー、3時間間隔を開けて一日6回まで
  • 3日を超えて使用しない
  • グリセリン配合で鼻腔内の乾燥を防ぐ

 
ベンザ鼻炎スプレー
こちらは抗ヒスタミン+アドレナリン作動性に加えて、リドカインという局所麻酔成分が入っていて、鼻の痛みを和らげます。
  • 有効成分: テトラヒドロゾリン (アドレナリン作動性薬 1mg/mL)、クロルフェニラミン (抗ヒ 5mg/mL)、リドカイン (局麻 5mg/mL)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1~2スプレー、3時間間隔を開けて一日6回まで
  • 3日を超えて使用しない
  • グリセリン、メントール配合

 
アルガードST
こちらは抗ヒスタミン+アドレナリン作動薬という他の製品で多くある組み合わせに加えて、下で説明する抗ケミカルメディエーター成分も配合しています
  • 有効成分: ナファゾリン (アドレナリン作動性薬 0.025%)、クロルフェニラミン (抗ヒ 0.25%)、クロモグリク酸 (抗ケミカルメディエーター 1%)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1スプレー、3時間間隔を開けて一日5回まで
  • 3日を超えて使用しない
  • グリセリン、メントール配合

 
エージノーズ S/C/M
添加物の違いのみのこの三つ  笑
アルガードSTとほぼ同じですが、グリチルリチンという成分がすべてに入っていて、ステロイドではなく炎症を穏やかに抑える働きがあります。
  • 有効成分: ナファゾリン (アドレナリン作動性薬 0.025%)、クロルフェニラミン (抗ヒ 0.25%)、クロモグリク酸 (抗ケミカルメディエーター 1%)、グリチルリチン (抗炎症 0.3%)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1スプレー、3時間間隔を開けて一日5回まで
  • 3日を超えて使用しない
  • S: アルコールフリー、C: メントールでクール、M: ポリマー成分で患部にとどまりやすく、垂れにくい

 

抗ケミカルメディエーター

クロモグリク酸 (英語ではクロモリン) はマスト細胞からのアレルギー反応惹起物質 (ヒスタミンやロイコトリエンなどケミカルメディエーター) の遊離を抑えることで、アレルギーを抑えます。吸入薬として喘息にも使われ、咳喘息にも処方されます。

 

抗ケミカルメディエーターの主な長所
  • 予防に効果的
  • 比較的安全性が高い
  • 喉のかゆみなどにも効果的
  • 眠くなりにくい
抗ケミカルメディエーターの主な短所
  • 既に起きているアレルギー症状にはほとんど効果がない

  • 即効性はなく、予防的に連用しておく必要がある

 

クロモグリク酸 (クロモリン)

NasalCrom
  • 有効成分: クロモグリク酸 (5mg)
  • 対象: 2歳以上 (6歳未満は医師に相談して用量を決める)
  • 用法用量: 最初一回1スプレーを一日3~6回、その後一日2~3回で継続

 

日本で買えるクロモグリク酸を含む主なスプレーはAGノーズ (第一三共)アルガードST (ロート) --抗ヒスタミの項も参照

※それぞれステロイド系で紹介したAGノーズEXやアルガードクリアノーズとかなり似てますが成分が違いますので注意。

 

ケトチフェン

こちら、アメリカでは点鼻のOTCはありません (点眼のみ)

日本ではザジテンがOTCで手に入ります。

 

ザジテンAL点鼻薬

メントール配合でスッキリした使い心地

  • 有効成分: ケトチフェン (75.6mg/100mL)
  • 対象: 7歳以上
  • 用法用量: 一回1スプレーを一日4回

 

【で、結局どう選べばいいの?】

結局どんな症状があるか、症状のひどさ、背景 (年齢、基礎疾患)、好みでによるとおもうんですが、ざっくりパターン別におススメを。

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  • ムズムズするけどひどくはない ⇒ アレグラやクラリチンなど弱めの抗ヒ内服
  • 鼻詰まりがひどく息ができない ⇒ アドレナリン作動性のもの (内服も可)
  • くしゃみ鼻水がつらく、すぐ効いてほしいけど絶対眠くなりたくない ⇒ 抗ヒスタミンスプレー (日本から渡航予定の場合は、アメリカではまだOTCはないので日本で買っておくといいです) またはステロイドスプレー
  • くしゃみ鼻水がつらく、すぐ効いてほしい ⇒ 長時間作用タイプ (一日一回) の抗ヒスタミン内服を寝る前に飲む (朝などでもいいが、non-drowsyと書かれていても人によっては眠気が出る可能性。non-drowsyをうたっているものは効果がマイルドなものが多いので、つらい症状がある場合はあまりお勧めしません)
  • くしゃみ鼻水に加えて目の症状がつらく、強い効き目が欲しい、眠くなりたくない ⇒ ステロイドスプレー
  • 予防的に使いたい、強い成分は使いたくない ⇒ 抗ケミカルメディエーター
  • 鼻を水洗いしたい気分 ⇒ 生理食塩水タイプ
  • ナチュラル志向で化合物は使いたくない、即効性は無くても長期的な改善をしたい ⇒ ホメオパシー
  • 症状がつらすぎて生活に支障がある、OTCは効果を感じない ⇒ 病院へ
  • アドレナリン作動性を3日ほど使っても鼻づまり症状が改善しない ⇒ 病院へ
  • 緑内障や糖尿病、心臓病、甲状腺の疾患がある ⇒ 薬剤師へ
  • 妊娠している ⇒ 薬剤師へ
  • 薬でアレルギーを起こしたことがある ⇒ 薬剤師へ

 

【薬局で知っておくと便利な言葉はこちら】

NY州では薬局において薬剤師以外はOTCのおススメをすることが州の法律でNGなので薬剤師に質問がある旨を薬局で伝えましょう。

Can I have a pharmacist for OTC recommendation ?とか

I have questions for pharmacistとかでOKです

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  • 鼻詰まり --- sinus congestion 単にcongestion でも通じます
  • くしゃみ鼻水 --- sneezing and runny nose
  • 鼻がムズムズする、目がかゆい --- itchy nose/eyes
  • アレルギーで涙がとまらない --- watery eyes
  • 糖尿病 --- diabetes パッと出てこないときはhigh blood sugarでOK
  • 高血圧 --- hypertension (やや専門用語的) または(high) blood pressureでOK
  • 心血管病 --- cardiovascular disease (こちらもやや教科書的な言い方なので実際はあまり使わないが・・・) heart diseaseで充分OK。ただ、心臓の薬はかなり多いので、飲んでいる薬の名前はきちんと覚えておくと薬剤師に伝わりやすいです。
  • 甲状腺 --- thyroid gland  (サイロイドだけで通じます)
  • 緑内障 --- glaucomaこちらもパッと出てこない場合はhigh eye pressureとかhigh pressure in the eyes とかでも全然通じます
  • 妊娠しています --- I'm pregnant
  • ○○にアレルギーがあります --- I'm allergic to ○○ (○○は薬の成分、または保存料preservative, 色素dyeなど)
  • 成分は分からないけど過去に薬でアレルギーを起こしたことがあります --- I don't know what ingredient but I had an allergic reaction to a/some medication(s).

 

 

ステロイドとアドレナリン作動薬についてはこちらを参照ください

 

内服についてはこちらもどうぞ

 

内服の鼻づまりに効くシュードエフェドリンを含む製品は薬局カウンターでしか買えません

 

 

いかがでしたでしょうか

日本ではOTCでかなり使われる外用抗ヒスタミン、アメリカではOTC対応ないのは意外でした。ステロイドに対する国民的なイメージの差もまだあるんでしょうね?!

 

OTCは結構奥が深いので

ざっくりまとめましたが、ちょっと迷うなと思ったら気軽に薬局の薬剤師に相談して大丈夫ですよ★特に飲んでいる薬がある場合や、子供用の場合は的確なアドバイスが得られると思います。

 

ではでは

今回もとても長くなりましたが・・・この辺で

目薬についてもまとめられたらいいなと思います。

 

今日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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